活動の目的
REASON

阿蘇の色々な事、場所や景色、もっと阿蘇のことを好きになってもらえたら嬉しいです。

阿蘇のこと 2021.06.16

田んぼ、はじめます。

こんにちは。

にわとり舎です。

 

今日は田んぼのおはなしをば。

 

わたしたちが阿蘇へ移住していちばんやりたかったこと、

それは、自分たちでお米をつくるということです。

 

土地を持たない、農家でもない、いち移住者のわたしたちにとって、

田に携わるということは、そんなに簡単なことではありません。

 

 

高齢化や過疎化がすすみ、耕作放棄地が増加している今、

空いている田畑はあるものの

その農地は先祖代々大切に受け継いでいる大切なもので、

使わないからといって簡単に見知らぬ他人に貸し出したり、売却したりすることは、

実際のところあまりありません。

 

 

特に田んぼは、水の管理の問題があります。

 

それ以外にも、畔の草刈り、井出の掃除など、

気心の知れた集落のみんなと協力しながら管理をしているわけだから、

なかなか知らない人と隣近所で田を管理するというのは、トラブルのもと。

二の足が踏むことだろうと思います。

 

農業従事者でなくてもお米づくりにトライしてみたいひとたちは、きっと少なくないはず。

空き家問題と同じように、

田畑を複数人でシェアしてみたり、

第三者を介して借りやすくしてみたり、

所有するという概念を緩めてみたり、

オーナー制度をつくってみたり、

いろいろと課題解決に向けての取り組みはできそうだけれど・・・。

 

結の精神で地域を守ってきたからこその、この壁。

地域文化をよく知り、礼節をもって、丁寧に取り組むべき問題でもあります。

 

わたしたちも焦らずに、よい流れとご縁ができたらと心に秘めていたのですが、

阿蘇へ移住して5年目、集落にはいって2年目、

ようやく挑戦することができ、よろこびとともに、気も引き締まります。

 

 

 

お米づくりと一言で言っても、やり方はほんとにさまざま。

その土地の気候、日当たり、地形、水の温度などいろいろですし、

田との向き合い方は人それぞれ。

 

わたしたちもこんな田んぼがいいなという理想はあるけれど、

あまり固執せずに、無理をせず、地域とのつながりを大切にすることを優先に。

 

唯一こだわりたかったのは、無農薬で栽培すること。

 

お借りする田んぼは冬の間に、羊のぼんちゃんを放していた場所。

ぼんちゃんの糞が良質な有機肥料になってくれているけれど、まだまだ足りません。

 

土壌づくりもできていない状態では無謀なことはわかってはいたものの、

3年後、5年後、10年後と長いスパンを見据えての挑戦です。

 

田んぼの師匠が、大らかに快く、わたしたちの希望に寄り添ってくれました。

心から感謝です。

 

 

2021年、6月吉日。

友人、知人を誘って、手植えでのスタートです。

 

まだまだ水温も気温も低いこの季節。

それでもぬるっと足を包み込むあの泥の感触は、

大地と一体になっているようでなんとも気持ちがよいものです。

 

機械化となる前の田植えは主に女性の仕事だったとのこと。

 

田んぼに入る女性のことを早乙女(さおとめ)、

その早乙女が植える苗のことを早苗(さなえ)と言います。

「さ」は山の神を意味し、神になりかわった乙女が、

神から授かった水稲の苗を植えることを象徴していると言われています。

 

腰の曲がったおばあちゃんを田舎でよく目にするのは、早乙女時代のご苦労からでしょう。

ばあちゃんたちが働き者なのも、

ちゃちゃっとおまんじゅうやおはぎをこしらえることができるのも、

きっとそう。

 

 

「田んぼは大変ぞー」

「昔はよう働かされたわい」

 

 

みんな口から出る言葉はネガティブなのだけど、

それを語る目はいつもうれしそうで、なつかしそうで。

 

ほんとうに大変なご苦労もたくさんあったのだろうけれど、

この一大イベントは、家族みんなとの思い出がいっぱいつまっているのでしょう。

 

 

屁っ放り腰で田植えをしていると、

見かねて近所のおじちゃんが応援しにきてくれました。

ほかにも、

差し入れをもってきてくれたり、

がんばれよーと声をかけてくれたり。

みんな、あったかい。

 

田植えはやっぱり、おまつりです。

 

 

うんうん。

ちゃんとまっすぐ。

お手製の田植え網のおかげで、

なかなか、いい感じ。

 

 

子どもたちもいっしょになって泥んこになるぞー!と意気込んでいたけれど、

子どもたちは田んぼより探検ごっこに夢中。

いちばん泥んこになりたかったのは、どうやらおとなだったみたい。

 

 

おとなたちは田植えハイになってきて、

だんだんと口数も減ってきて、黙々と手を動かします。

 

 

ちなみに、この腰に巻いている和柄の紐、なんだかわかりますか?

畳のへり、なんです。

 

丈夫で軽い畳のへりは、昔のお百姓さんは紐がわりになんでも使っていたそう。

畳のへりは踏んではいけない、とも言ったり、

家紋入りのへりもあったというから、

きっと貴重で大切なものでもあったのでしょう。

使い捨てではなく、再利用。

みんなお揃いのへりを腰に巻いて、トラディショナルスタイルです。

 

 

 

ひと苗、ひと苗、

心を込めて。

しっかりと実をつけますように。

 

 

最後は子どもたちも田んぼにはいって、

はじめての感触に大興奮!

アーシングです。

 

 

参加してくれたみんなで記念撮影。

カシャッ。

みんな、ありがとう。

 

 

美味しいお米ができますように。

小さいけれど、わたしたちにとっては大きな一歩。

1000年先もずっと残していきたい、大切な営みです。

 

田んぼのレビューは続きます。

 

 

___________________

にわとり舎
▷instagram:@niwatori_sha
▷facebook:@niwatorisha

ACTIVITY WORD
にわとり舎田植え

にわとり舎

阿蘇の里山の水源近くの古民家をセルフリノベーションしながら、薪をくべ、田畑を耕し、ときどき麦を編みながら、動物たちとともに暮らしています。あたらしい時代のあたらしい生き方を実践すべく、土に根を張り、ヒトも自然の一部として、日々をおもしろがって生きています。

一覧へ戻る